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インタビュー2023.1.5

「私が白髪になったら」Sinkevich Rei先生特別インタビュー

簡単な自己紹介からお願いします。
(Rei)Sinkevich Rei先生で〜す。漫画がすごく好きで趣味で描き始めていたらボヘミアで掲載させてもらえました。18歳までロシアに住んでいましたが今は日本に住んでいて、基本的に自分の人生を描いた漫画を制作しています。自分の自己紹介って難しくないですか?
そうですね。
(Rei)あっはっはっはっはっは!
Sinkevich Rei プロフィール

Instagram @reisinkevich
ロシア、モスクワ出身の作家。
これまでの作品『Tea with Lemon』、『mononucleosis』、『ボーバ 子供たちの物語』では、自分の身辺に起こった出来事を鋭い感受性で捕え、独自のタッチで描いている。三作とも自費出版。

Rei先生の故郷の写真

Rei先生、本日はよろしくお願いいたします!今回のボヘミアで執筆していただいた『私が白髪になったら』についてお話をお伺いしてもよろしいでしょうか。
(Rei)『私が白髪になったら』は高齢者の話なんですけど、私は自分のドキュメンタリー的な作品を描くことが多くて『私が白髪になったら』も実際のおじいさんとおばあさんを描いた漫画なんです。
(Rei)二人ともまだ生きてはいるんですけど施設にいて、去年おじいさんのアルツハイマーが悪化してからは喋れない状態です。その時くらいからこの話を漫画に描きたいなと思っていました。二人には年に一回しか会えていなくて夏休みとかに一週間ぐらい一緒に過ごすという感じなんです。毎年彼らと会うたびに仲の良かった人たちともう話すことができないんだなあと思って、日本でも高齢というテーマは深刻だと思うし二人はもう私の描いた漫画をRead Nowことができないけど自分なりにお別れという意識をもって今回形にしてみました。
「魂が乗っている作品だ」というようなCommentもありましたね。普段の制作で今お話ししてもらったこと以外に意識していることはありますか。
(Rei)漫画を描く時は何だか作品を子どものように思っているんですよ。例えば主人公でも何でもキャラクターがいるわけじゃないですか。そして漫画を世の中に出した時すでにそれはもう自分のものじゃないというか…自分が作者だけど自分を離れて読者とキャラクターにそれぞれの時間を過ごして欲しいなと思います。私がいてもいなくても、キャラクター自身に自分の楽しい人生をRead Now人たちと一緒に楽しんで過ごしてもらえたらといつも作りながら思っています。あと、漫画を描く時は楽しく正直にやることかな。 読者のために作ってもいるけど読者をバカにしたように作るのはよくないなと思っていて「こういうことをやったらウケるだろう」とかそういう作品は私は作れないなって。キャラクターにすごく感情移入しちゃうから世の中に出すまでが大変で、これを印刷しなかったら送らなければ私だけのものじゃんという感覚。でもやっぱり心を開く。そうしたらネガティブな感想もあるしもちろん良いこともある。そのキャラクターが私なしで生きていってくれたらなと思います。
漫画以外の活動についてお聞かせください。
(Rei)前からすごく漫画やアニメは好きだったけど描き始めたのは本当に最近です。漫画家よりはアニメーターになりたいと夢見たころもあってそれで美術学校に行ったんですけど。でも中学とか高校はファッションにも興味があって、アニメーターは難しいしファッションでもいいかなあなんて思っていました。高校の時は友達とファッション雑誌を作ったりファッションウィーク(ファッション業界のイベント)では記事を作ったり友達とブランドの話しをしたり、ファッションの業界を中から見たかったからモデルとかそういった仕事もやったりしました。

ロシアのファッションイベントの風景

(Rei)日本に来てからはデザイン学校に通ってファッションはやっぱり違うと感じて趣味程度のものになっちゃいました。漫画とかアニメとかは好きだけど自分にできるか分からないから正直デザインをやっておけばイラストレーターとかになれるかなと思ってデザインをやっていました。そこから個展をやったり友達の展示を手伝ったり芸大の大学院のパフォーマンスに参加させてもらったりしたんですけど…すごく面白いけど自分とは少し違うというか。
(Rei)人の作品に参加するのはすごく楽しけど感情移入があんまりできないというところで、漫画というストーリーのある媒体という点でイラストとは違う面白さがあるなと思っています。
日本に来て不便なことなどはありますか。
(Rei)「人口音」って言い方で合ってるのかな?日本は音が多くてうるさいです。街を歩くとモスキート音なんか酷くないですか?蛍光灯の白い光も。対人的な面では敬語が難しいかな。あとは同い年の人たちとのユーモアのセンスというか…相手の言っていることが皮肉か本気かわからなかったり逆に私の皮肉を相手がわからなかったり、そういうところがやっぱり分からないなと思います。面白いところでもあるんですけどね。
日本人について聞かせてもらえますか。
(Rei)日本人についてとは(笑)?
例えばロシアの環境と比べてどうだったとかですかね。
(Rei)いろいろいますよ、日本人にも。日本人も世代世代で全く違うじゃないですか。でも日本人と欧米人の違いは、マーベルとウルトラマンで例えるとわかりやすいですね。マーベルのヒーローは個々人の個性が強くて、ウルトラマンは最初はみんな同じに見えてもちょっとしたニュアンスが違う。そこが面白いところだと思います。
人間の好き嫌いはありますか?
(Rei)相性ですかね。ずっと年上の友達が多いかな。ロシアでも日本でも区別なく同い年の子だと話しが合わないことが多いですね。なんでだろう。今の日本の子たちは20歳までクラブに行かないような子たちが多いからどこに遊びに誘えばいいんだろう?みたいな疑問もたくさんありました。コロナだから絶対どこにも行かないというのもよくわからなかったですし。ステレオタイプな見方かもしれないけれど、日本はルールが多いのかな。

高校時代のRei先生

ロシアは結構みんなでクラブに行ったりするんですか。
(Rei)人によってですね。嫌いな人は嫌いですし。私が一時期クラブが好きだったということもあってか周りの人達もイベント関係の人だったり、DJ・ VJ とかそういうのに興味もあったし音楽も好きでした。ロシアとかヨーロッパとかのハイスクールドラマを見ると高校でパーティーをやるじゃないですか。日本ってそういうイメージがなくないですか?日本人がパーティーをする年代って20代とかからじゃないですか?そこがちょっとずれてるのかなと思います。面白いですけど。
日本やロシアで印象的だった交友関係はありますか。
(Rei)いっぱいありますよ。 ロシアは中学までは安定して友達がいました。でもロシアにいた時から日本の漫画やアニメはすっごく好きでそういうアイテムは集めていました。日本のアニメーターがロシアに来る機会があったらそれを絶対見に行ってましたね。山村浩二とか最高。高校はクラスメイト以外にもファッションやイラスト関係者との交流が楽しかったです。パフォーマンス集団(パンクロック)の「Pussy Riot」のコラボレーションの撮影は政治的なコンセプト要素も絡んでいて面白かったです。高校はロシア文学のコースで入学前まではメジャーな本しか読んでなかったんですけど話の作りを分析して読んだりした経験がためにはなったと思います。日本のサブカルチャーはいろんなものが混ざっていて面白い。その中でも個人的には、いろんなジャンルがあってまんだらけが一番面白いかな(笑)。海外の友達とかに説明するとき、この国はいろんなカルチャーとのミックスでコラージュだと言っています。日本人はいろんなものを全て日本人的な目線で見ていて、イギリスのロックのファンだったり、レゲエのファンだったり、そこで全部が日本的になるんだけどコーラジュみたいにカルチャー・ミックスされていて面白いかな。
読者から質問が届いています。「愛について描かれていますが…好きな人のタイプはありますか。」
(Rei)本当ですか。決まったタイプはないです。意外な質問ですね(笑)。え~誰だろう!なんで!?好きな男性のタイプ…。やっぱり相性かなあ。
話をしてみてからということでしょうか。
(Rei)普通に「かっこいいな」とか思いますよ。単純に「こいついいなあ」とか。一目惚れじゃないけど恋人じゃなくても第一印象で分かるとかないですか?私はそう思いますけど。白・黒というよりは「この人と友達になりたいな!」みたいなの。恋愛の愛じゃなくてやっぱり人は愛がないと生きていけないじゃないですか。だからそれは日常的に見せたいなと思って。まあ漫画で描いているのは愛というよりロマンかな!
素敵ですね。次回作の展望についてお願いします。
(Rei)原作があるストーリーに絵をつけるのは本当に初めてで正直私はグループワークが結構苦手なんですよ。だから執筆にあたって自分の中になかった感情がすごくワッーっと蠢き始めるので面白いですね。すごく難しいけど責任も出るし時代劇は一度は描いてみたかったので。原作者の西山先生の金魚への愛がいいなあと思います。この人こんなに自分の書く話が好きなんだなと思って。自分が全く考えられないテーマなのでこの人の作品なら描きたいなと思いましたね。身近なテーマで話を描くのは楽かもしれないけど、それは本質的にあんまり面白くはないかもね。だからすごく楽しみです。

『ボヘミア』vol.4より連載予定の原作・西山宗一 作画・Rei『金魚侍』

『ボヘミア』で気になった作品などはありますか。
(Rei)高杉龍斗さん。やっぱり絵が趣味なのかな。

『ボヘミア』vol.1より 高杉龍斗先生・作『うさぎ男の幻想』

(Rei)元から知ってる人は亜蘭さんとか、不吉霊二さんの漫画とかも読んでいたし。結構面子的に面白いところはありました。古川会長のCGを使った漫画もすごく面白いですよね。表現というか技法としてすごく面白いことやっているんだなと思いますね。みんな話が短いから私は技法と絵に目がいくかな。オレンジ君さんとか、さきふみこさんの絵も面白かったって感じかな?
最後に何かありますか?
(Rei)がんばります☆あと日本人ってなんでみんな好きな人のタイプを聞くの(笑)?
Rei先生本日はどうもありがとうございます!
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