WHAT IS HIBARI SHOBO

ひばり書房は1950年代後半から1980年代にかけて、数多くの怪奇マンガを出版したことで知られる日本の出版社です。 社長の安藤雄二氏は、経営者として優れているだけでなく、数多くの新人作家を発掘した偉大な編集者でもあります。 「子連れ狼」で知られる小島剛夕をマンガ家として世に送り出した最初の人物です。初期の小島剛夕の創作にも協力し、プロデューサー的な役目を果たしました。

1958年11月から1967年にかけて日本で最初のホラーコミックアンソロジーシリーズ『怪談』を101冊+増刊4冊を発行し、それと併行して伝説的ホラーアンソロジーシリーズ『オール怪談』を84冊+増刊1冊発行しました。その他にも同時期に『別冊怪談』を15冊、『漫画スリラー』を4冊、『怪奇時代』を6冊、『幽霊』を8冊を発行した怪奇マンガの老舗出版社です。

これらを刊行しながら描き下ろし単行本も数多く出版しています。この時期に執筆していたのは、小島剛夕、白土三平、楳図かずお、古賀しんさく(新一)など日本マンガ史上に名を残す作家たち。カルト的な人気を持つ、いばら美喜、浜慎二、池川伸治といった怪奇作家も名を連ねます。

1970年代に発行した150タイトルを超える描き下ろし単行本シリーズは、日本のビンテージコミックコレクター達の間で「黒枠」と呼ばれ、複数存在するバージョン違いを巡って日夜争奪戦が繰り広げられています。

その中でも特に人気を集めるのが「色枠」と呼ばれるバージョン。これはひばり書房が経営の危機に陥った1975〜6年に、会社を維持するためのサバイバルの中で産み出されたごく一部のタイトルだけに存在するスペシャルなバージョンです。

1970年代後半には新レーベル「ひばりヒットコミックス」を立ち上げ、日野日出志、川島のりかず、さがみゆき、杉戸光史、森由岐子といった作家たちを主軸に、内容が同じでタイトル変更だけ変更も含めると500タイトル以上を発行しています。そして新人作家にも200P近く長篇描き下ろしというスタイルで作品を執筆する機会を与えます。この出版スタイルは怪奇マンガの出版を終える1989年まで続きました。

怪奇マンガ最後のタイトルは川島のりかず『中学生殺人事件』です。

怪奇マンガ出版を終えたあと、2004年11月に閉業するまで子供向けの教育書を中心としたバーゲンブックの出版を行います。

それら教育書にもマンガ出版の初期から繋がりの深い浜慎二や大石まどかといった作家を起用していたところに、作家を大事にする安藤社長の人柄が表れています。


ひばり書房社長 安藤 雄二
1919年6月16日〜2011年3月27日