2008/2/15 21:00掲載
まんだらけ 福岡店

1F 【マンガの中に歴史有り〜第三週 混沌〜ヒトが行き着いた場所〜】 「中世から現代へ・・・。」

「鎖国」の果てに、時代は開化を迎えた。
小さな島国である日本は海を越え、世界へと向って走り始めた。
活走し、奔走し、ガムシャラに日本は生きた。
生きる結果が戦争に繋がり、またも日本は「戦」で名を馳せ、そして堕ちた。
這い上がる事しか選択肢が無かった日本は、急激に成長を遂げた。
極度の貧困から、日本は再び世界に返り咲いた。
先駆者達の生き様が、現在の我々を豊かにした。

豊かさは逆に心の貧困を招いた。
人々は、こぞって「癒し」を求めた。渇望する「癒し」は、その需要に比例して様々なモノを生んだ。
「癒し」は、「カネ」になった。「カネ」は「安らぎ」を得る手段へと変った。

ーーー現代とは・・・。

果たして、「金」そのものかもしれない。

さてさて、これ以上暗くなってはたまらない。
真面目に書いている・・・というより、なんですか!このマイナス思考の文章は!!
、とツッコミを入れられる前に、ハイっコレ!!(またこのパターンかい)
現代の日本を忠実に反映しているだろうと思われる、ホントにコレは創作なんかいな、マジ怖いよ〜でお馴染みの、『闇金ウシジマくん』のご紹介です!!!
まあ、貸金業規正法が厳しくなって、オカタイ金融機関はかなり迷惑被ってる部分があるんですけど、取立てしても回収できず、簡単に破産されちゃって不良債権だけが残って償却処理。
んで、破産の時効が過ぎれば信用復活してまた借りれちゃうって、なんなのこのシステム!?ってな感じで、一般の金融機関が貸し渋りをやってしまったが為に生まれた『闇金融』『闇金ウシジマくん』は、債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人)の温度の違いというんでしょうか、その【差】というのが非常に恐ろしい漫画。
闇金のシステムや非情な取立て、残酷な結末に土壷にハマって抜け出せないシガナイ人間。
リアルすぎて、恐ろしい。
自分はこうならないぞ!と思ってはいるが、ウシジマくんの手腕に掛かれば、一瞬で多重債務者に成り果ててしまう。
人をとことん落とし込み、堕ちるところまで堕ちた挙句、這い上がる隙さえ与えずに、現代という地獄を味合わせる。
ウシジマくんの非情さは、これがまた徹底している。そして「人間」を良く知っている。
人とは脆い生き物である。その脆さに漬け込み、とことん追い詰めるウシジマくん。追い詰められたヒトは、それに抗ってはいるものの、ウシジマくんの手の内で踊らされている事に気付いていない。

債務者として描かれているヒトは、今の現代、どこにでもいる人達だ。
パチンコにハマるおばちゃん、ニートさん、キャバクラのお姉ちゃん、ホストくん、定年退職したお父さんに、どこか煮え切らない普通の会社員。

「金」に潜む「闇」の部分を露見して、恐怖と共に知らしめながら、教訓として我々に小さな救いを与えてくれて、娯楽として愉しめる。
『闇金ウシジマくん』は現代に付きまとう闇の部分を、そして我々が一番必要としている「金」というものを、教えてくれている現代のバイブルとも作品だと云えよう。

「金」はヒトを正直にさせる。
「金」でヒトの本音を知ることができる。
「金」はヒトの一番汚い部分であり、正義でもある。

これを読んだ後、貴方は感じるだろう。
「金」の恐ろしさ。その「金」が現代そのものである事への恐怖を。
そして見つけるだろう。
「金」への畏怖を。その「金」が現代を作り上げてくれている事への感謝を。

是非読んで欲しいと思う。

【テーマ番長一口メモ】現代では借金というと法定金利による正規の消費者金融と、違法な金利の闇金に大分される。
過去の歴史上では高利貸しは自由に金利を決めて大もうけし、時には大名の家禄を越え、強大な権力を手にすることもあった。


(担当 矢口)

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