先日、「老子」と「列子」を紹介させて頂きましたので今度は「荘子」です。 「老、列、荘」とタオイズムのスリートップのなかで一番「毒」が強いといはれるのがこの「荘子」です。 つまり一番厭世的でニヒリスティックなんでせうね。 この「毒」に当てられてしまふと一生グダグダな人生になってしまふといふことらしいですが、果たしてそれが良いことなのか悪いことなのか。 一文を抜粋致しませう。 「至人の心を用ふること鏡の若(ごと)し。将(おく)らず迎へず、応じて蔵(をさ)めず」 〈訳〉聖人の心の用ひかたは、たとへば明らかなる鏡のごとく、来るものは来るに任せて、迎へることをしない。去るものは去るに任せて、送りもしない。 ただ物の来るに応じてそれを鏡の上にうつし出し、そして決してその影を留めて収めておくことはない。(本書658頁) つまり過去を追憶したり、未来を期待したりせずに淡々と目の前の事実を認識し、過ぎ去れば忘れて行くといふのが理想の心の在り方である、といふことでせう。 モチロン、過ぎ去ったことをアタマが忘れてしまってゐてはただの記憶喪失なってしまひます。 アタマが忘れるのではなく、「心」が忘れるといふことです。 過去を記憶としては思ひ出せるけど、思ひ出しても心は動かない。さういふ境地をいふのでせう。 そんな心持になれれば色々と便利かも知れません。 本書はその『荘子』を『易経講話』で著名な公田連太郎先生の編述で、かつ漢籍専門の明徳出版社から刊行されたものです。他の『荘子』に比して非常に解説が丁寧です。ただし『荘子内篇』のみです。
(担当 山口ケン)
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