2009/3/14 21:00掲載
まんだらけ グランドカオス

3月22日(日)2階ヴィンテージコーナー 徳南晴一郎「化猫の月」


・曙出版 徳南晴一郎 「化猫の月」
状態 糸綴じなし、貸本
\105,000

「徳南晴一郎」
これだけ人の心をざわつかせる作家がいたでしょうか?
10数年前に太田出版から「人間時計」「ひるぜんの曲」が復刊されその名前が大きく世に知れ渡った作家「徳南晴一郎」。

1962年、市川誠一名義から、再度徳南誠一郎として描いた「人間時計」と同時期に描かれた作品「化猫の月」を今回のイベントで販売します。

1962年といえば、市川誠一名義で描いてきた青春モノの反響がよくなく、名前を徳南晴一郎に戻した時期になるわけですが、人間時計がある意味それまで描いてきた青春モノ(現代モノ)を踏襲しているのに対し、この「化猫の月」は初期の時代モノ(怪談モノ)に回帰しています。

しかしながら、「化猫の月」においてもその内容は氏の作品について話す時に必ず出てくるキーワード
「狂ったデッサン」「悪夢のような世界」「時間の不連続性」
があてはまります。

キャラクターの名前にしても「無階凍馬」「耳条之進」と独特ネーミングで、正直理解の範疇を超える部分がこの作品でも一際目立ちます。

また、この作品は戦国武将モノ(徳川家康、織田信長、豊臣秀吉、伊達政宗)が出る直前に描かれた作品なのですが、後の作品に通じるテーマがここにも描かれています。
「自分が置かれている状況に対する理不尽な不満」
後の武将モノでも一貫して描かれているテーマがここでも「裏切られ浪人として不遇な状況を過ごしている」という主人公を通じてネチネチと描かれています。

少し堅苦しく話をしてしまいましたが、氏が漫画家を引退して半世紀、それでも尚この時代においてその作品が心をざわつかせるのは、その作品の持つ粘着性のある「何か」であると思います。
その「何か」というのは正直分からないのですが、「化猫の月」には心を魅了する何かがあります。

漫画を読む、もしくは集めるにあたりその人のルールであったり、規則的なものが存在するのは分かっているのですが、その範疇を越えてでも手元に置いておくべき本はあると思います。

間違いなく「異端」にあたるこの本を是非。


※掲載商品の取置・通信販売の受付は3月23日(月)以降となりますのであらかじめご了承ください。

(担当 原)

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