タイムマシンで過去に戻って現在を操作する、といふやり方は映画や小説では定番でせう。
しかし誰れかの存在を消すためにタイムマシンで過去に戻って、その親なりを抹殺して現在に戻ったとして、ほんたうにその者の存在は消えてしまふのでせうか?
或ひは、過去に戻って自分の両親の出会ひを邪魔すれば自分はその途端に消えてしまふのでせうか?
現在の通説からすれば残念ながらそんなことにはならないやうです。
つまり、憎い相手の親を抹殺しても相手は消えないし、両親の出会ひを妨害して結婚させないやうにしても自分の存在は消えやしないワケです。
どうしてさうなるかといへば自分が介在した時点でそれは「本当に存在した過去」ではなくなってしまふからです。
自分がその場に闖入した時点でそれは別世界になってしまふワケです。
だからその世界で両親の出会ひを妨害したら、その世界では自分は生まれませんが、こっちの世界には全く影響がないのであります。
つまりタイムマシンが発明されても「厳密な意味での過去」には絶対に行けない、といふことです。
これが現在定説の「多世界論」です(いはゆるパラレルワールド説)。
本書ではこの「多世界論」を前半で「無意味」と否定して置きながら後半の結論部分はどうも多世界論的であり、パラパラとめくって見ただけでは論旨がいまひとつ掴めませんが、まァかういふ話題が好きな人であれば興味深く読める内容でせう。
表紙にあるとほり、テーマは「因果律の破れ」「親殺しのパラドックス」「超光速粒子タキオン」「ワームホール」「ブラックホール」「ホワイトホール」「運命論」「科学主義的決定論」「過去の救済」etc。
一見トンデモ超科学系書籍に見えますが、著者は科学技術大学の哲学教授ですから、さういふ心配はご無用。
まんだらけ中野店「大予言」にて御覧になれます。
(担当 山口ケン)
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