「森安なおや」
本名・直(ただし)1934年、岡山県生まれ。高校卒業後・上京、田河水泡に師事。
1954年、寺田ヒロオ・藤子不二雄らと共に新漫画党を結成。雑誌や貸本向けの描き下ろし単行本を中心に
作品を発表。
突出した才能が集まり、梁山泊的様相を呈した当時のトキワ荘メンバーをして、やわらかい繊細な
ペンタッチにて牧歌的な物語を描かせると並ぶ者無し、と評されたほど。
その後、1961年以降は職業としての漫画家の道を離れ、様々な職を転々。
その間も漫画の制作は続けており。
1997年には、故郷岡山を舞台にした『烏城物語』が地元同級生有志の協力で発表・出版され、高い評価を得たのは記憶に新しい所かと。
1999年、急性心不全の為逝去、享年64歳。
知る人ぞ知る、知っていて然るべき漫画家だと思います。
(藤子不二雄:著『まんが道』において、漫画少年休刊の報に触れ、「キャバキャバ」言った人。
と言うと通りが良いかと思います。・・・お叱りを受けるかも知れませんが。)
しかしその反面、元々寡作な上に職業漫画家としての道から離れていた事もあってか、
その知名度・評価の高さの割に作品の復刻に恵まれておらず。
氏の作品を読するには初出の単行本・掲載誌にあたらねばならないという現状が続いておりました。
そんな現状を鑑み・嘆き、
氏の才能・作品を何とか世に広めたい・伝えたいという熱い思いの元、
有志が集まり、制作発行されたのがこの一冊。
昭和32年、貸本版元「きんらん社」より描下ろし単行本として発表
されて以来の森安作品初復刻となります。
収録は表題の『いねっ子わらっ子』の他、
昭和34年セントラル文庫発行のアンソロジー「白鳥 13号」に収録された『こけし船頭さん』を併録。
いずれも、森安らしい。派手な内容では無いのですが、なにか確実にこちらの心に訴えかけてくる様な。
初復刻に相応しい作品です。
編集・発行を中心となり、また企画をされた、高畠裕幸氏(徳尾書店)による
『主要作品解説』及び『作品リストを』も収録の、資料的にも貴重な一冊です。
A5判上製函入/本文160頁
2013年4月29日 限定400部発行。
税込み¥2,625-
この機会に是非。
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