まんだらけ 小倉店

L.S.C in 小倉 〜ライトノベル普及委員会〜 【第7回】「ひぐらしのなく頃に」がもたらしたもの(その1)

今回はこの作品を中心に。


(図1)


派生作品がアニメ・コンシューマゲーム・CD・実写映画・コミック、さらには同人作品などなど、
膨大な数存在する「ひぐらしのなく頃に」ですが、もとはといえば、一つの同人ソフトにすぎませんでした。
普通の同人ソフトならば、ライトノベルの領分ではありませんが、「ひぐらし」の場合は、ビジュアルノベル、つまり読み物としての色が非常に濃く、また多くの同人作品とは違い年齢制限もなかったため、結果的に
ライトノベル読者も多く獲得し、のちに講談社からも小説として発売されるにいたりました。


(図2)


「ひぐらし」のヒットは、同じ同人作品で、また同じビジュアルノベルの体をとっていたことから、TYPE-MOONの作品「月姫」と比べられることが多いようです(同人は専門外なので、あまり深くは分からないのですが)。
しかし、「ひぐらし」と「月姫」には、似ているようで極めて大きな違いがあります。

「月姫」の作者、奈須きのこ氏は、自分の作品には新本格ミステリの作品が大きく影響している、と各メディアで発言しています。
「新本格」とは、1980年代後半に起こった、それまでの社会派ミステリ主流の日本ミステリの流れとは全く違う、ある種非現実・非効率ともいえるほどの壮麗・豪華絢爛たる本格ミステリを復活させた一連の作品群・および作者たちのことを(一般的には)指します。
「月姫」や「空の境界」などの奈須作品を見ると、その影響は明らかです。異常ともいえる衒学趣味・過剰な作品設定・装飾的な地の文や、叙述トリックやドンデン返しの多用など、自ら「新本格伝奇」と名乗るだけあって、その裏には自身の読書体験が大きく生かされているのが見受けられます。

一方の「ひぐらし」ですが、雑誌「ファウスト」での奈須きのこ氏との対談において、作者・竜騎士07氏は、
「ほとんど本格ミステリを読んでいない」と発言し、司会の大田編集長を驚かせています。


(図3,4)


では竜騎士氏をノベルゲームの作成に導いたきっかけはというと、「かまいたちの夜」に代表される、テレビゲームのビジュアルノベルが、「ひぐらし」の作成の原点になった、という趣旨の発言があります。
つまり「月姫」などが小説からの派生、であったのに対し、「ひぐらし」は、ゲームが生み出したゲーム、ということになります。
そして、「ひぐらし」が世に発表されたことで、多くのライトノベルも、この影響を受けることになります。

今回は以上になります。
次回もこの続きを。

(担当 有冨)

※この記事は2008/10/6に掲載したものです。
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