前回同様、今回も『ゲームのノベライズ』について思いついたことを書いていきます。
多くのゲームのノベライズでは、筆者が実際のゲームでは描写されていない部分を補う、あるいは膨らますことによって描かれるのが基本です。
しかし、ゲームはゲームでも「アドベンチャーゲーム」あるいは「ノベルゲーム」の場合は話は違ってきます。
上記のような種類のゲームは、内容のほとんどが実際のゲームにおいて”文章”で描写されているので、ゲーム本編をノベライズする意味がない、ということになってしまいます。
(図1)
なので、上の画像の「雨格子の館」のように、ノベルゲームの場合はコミカライズ、漫画化されることの方が多くみられます。
しかし、違うアプローチのノベルゲームのノベライズというのもあります。
(図2)
上記の「あなただけのかまいたちの夜」は、サウンドノベルの代名詞ともいうべき「かまいたちの夜」を実際にプレイしたユーザーから短編小説を募集するという、
いってみれば『公式公認の二次創作』ともいうべきものでした。
このスタイルは「ひぐらしのなく頃に」でも使われていて、「話咄し編」としてまとめられ、コミカライズされるという逆輸入も行われています。
(図3)
もともと二次創作が本来の姿でもある同人出身の「ひぐらし」では、一般からの二次創作の募集というスタイルはとても合っているともいえます。
また、一般ではなくプロの作家による作品集、というパターンも存在します。
(図4)
「月姫アンソロジーノベル」は、プロの作家による『月姫の世界観・キャラクターを使って書かれた短編小説作品集』であり、スタイルとしてはシェアード・ノベルに近いと言えます。
ゲームのアンソロジーコミックスは1タイトルだけでも多数発売されますが、ライトノベルではまだそれほど多くはありません。
(図5)
ノベルゲームだけでなく、その真逆の「モンスターハンター」のようにプレイヤーの描写がまったく存在しないゲームのノベライズにも、シェアード形式は面白いと思います。
次回もゲーム原作のライトノベルについて考えます。
(担当 有冨)
※この記事は2009/4/4に掲載したものです。