ライトノベルも百花繚乱の時代になった2009年現在、番組改編期の新番組のアニメには、必ずと言っていいほどライトノベル原作の作品が入っています。 来年の一月からも、「バカとテストと召喚獣」などのアニメ化が決定しています。いまやアニメの原作候補にライトノベルは欠かせなくなっています。 それだけに作品の新展開が要求される速度や、作品の内容が消費される速度も一層速くなり、まさにコミックスなみと言っていいかもしれません。
かつて作品として消費される速度の速さが必要だからライトノベルやコミックスの原作を書いている、という趣旨の発言を大塚英志さんがしていましたが、まさにその域までライトノベル全体が達しつつあるようです。
ただし、だからと言って消費されるスピードに作品全体のクオリティや、なによりも生産速度が追い付いているのかといわれれば、100%そうだとは言えない状況でもあります。
思い切り極端な例をあげれば、大ヒット作品「涼宮ハルヒ」がまさにそうです。
(図1)
ハルヒが極端な例だとしても、この作品に関してもアニメ化が続編を生み出すのに良い環境を造ったとは思えませんでした。
(図2)
作品自体はオリジナルの展開が良い感じでしたが、そのアニメ化にあたって、新刊を出したかったらしく、2008年に「紅」3作目にあたる『醜悪祭』が発売になりました。
しかしながら作者の片山先生は、デビュー以来遅筆で知られている方。それ自体はファンとしては改善されてほしいことではあるものの、作家性のひとつでもある遅筆が突然治るわけもなく、その結果スーパーダッシュ文庫が出した結論は『醜悪祭』の上下巻発売。しかも上下巻にふさわしいボリュームがあったなら良いのですが、下巻は作品が終わっていないうえに、アニメの第一話の台本を収録させてペーズ数を増すという前代未聞の内容。当然のことながら激しい批判にさらされることになりました。
いい作品、好きな作品がメディア化されることはもちろんいいことのほうが多いのですが、それによってファンに好ましくない状況が出てくるのはつらいことです。 かなりテーマから離れた内容の文になってしまいましたが、ファンとしては「紅」および「電波的な彼女」の続編を待っています…もちろん「涼宮ハルヒ」の新作も。
次回もこのテーマの予定です。
(担当 有冨)