ライトノベルというジャンルは、ジャンル自体が確立されてからおよそ20年余り(異論有りとは思いますが)程度しか経っておらず、ジャンルとしてはまだ未成熟なものです。 さらにはその時その時の流行りにも敏感なため、それゆえ作家の寿命が長いとはいえず、さまざまな書き手の方がこの20年間に出ては消えて行きました。
そんな中、ライトノベル創成期から今まで、ほぼずっと第一線で書き続け、にもかかわらず作品が大ヒットしたこともなく、 アニメ化・実写化も一度もされたことのもない、というこのジャンルでは稀有な作家がいます。
(図1)
以来19年にわたって、富士見書房と角川スニーカー文庫でのみ、作品を発表し続けています。
(図1)
冴木作品の特徴、としてよくあげられるのは、「登場人物が不幸」だというのは、以前にも取り上げたことがあります。
ただしそれは「不幸」というくくりというより、登場人物の持つ事情・状況が特殊であることが多いということでもあります。
美形ゆえにひどい目に遭い、強大な魔力を厭わしく思う主人公・リジィオは冴木キャラの代表格でもあり、後に数多くライトノベルに登場する”平凡だけど強大な能力を隠し持つ主人公”とはすでにして一線を画していると言っていいでしょう。
次回もおそらく冴木忍先生の話です。
(担当 有冨)
※この記事は2009/5/27に掲載したものです。